キッチンの窓の近く。
週末の朝、ここで読書をする時間が好きです。
この時期は日の光が暖かく、とても気持よく過ごせます。
窓を開けると風が入ってきてなお心地よいのですが、ある出来ごと以来、開かずの窓となっているのです。
さかのぼること昨年の夏になる少し前。
開けていたこの窓から、ゆっくりと黒いあいつが侵入してきました。
その瞬間を見て鳥肌が立った私は、たちすくんだまま何もできませんでした。
昼間は寝ているものだとばかり思っていたのに。
残念なことに、活動的なタイプに出会ってしまったようです。
それから少しの間、一緒に過ごしました。
同居後、出くわしたのは一度だけです。
ちょうど、箸立ての中の箸を登って、降りるところでした。
私がいないときは好きにしていい。
でも、家にいる時間は出てこないで。
約束を守ってくれたのか、部屋の隅っこで乾燥している姿を見つけるまで会うことはありませんでした。
息の根を止めないと眠れない人もいるようですが、後始末が面倒なため、私はよほどのことがない限り仕留めることはしません。
いや、違いますね。
スリッパやスプレーを持って追いかけまわしても、相手の方が二枚も三枚もうわてのため、いつのころからか諦めたという方が合っています。